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呉田 昌俊
化学工学, 80(8), p.464 - 467, 2016/08
中性子ラジオグラフィは中性子を利用して物質内部を可視化計測する技術であり、X線ラジオグラフィ(レントゲン)と相補的な特長を持つ。本レビュー論文においては、その計測原理および適用事例、例えばエンジン内の潤滑油オイルの可視化、大強度陽子加速器施設J-PARC(共用中性子イメージング専用施設)を利用した最先端技術などについて、計測の次元毎に技術全体を網羅し整理した形で紹介する。
玉井 秀定; 呉田 昌俊; 吉田 啓之; 秋本 肇
JSME International Journal, Series B, 47(2), p.293 - 298, 2004/05
低減速軽水炉の熱水力設計のためには稠密燃料集合体における圧力損失特性の把握及びその評価方法が重要である。本論文では、既存の45バンドル試験と原研で実施した7本バンドル試験の結果との比較により、Martinelli-Nelson及びHancoxの評価方法の予測精度を検討した。その結果、二相流の摩擦圧力損失は、水力等価直径が3mm以下の稠密燃料集合体では等価な円管より小さくなることがわかった。この理由は、稠密燃料集合体と円管の流路形状の相違とマイクロチャンネルの効果によるものである。
玉井 秀定; 冨山 明男*
日本機械学会論文集,B, 70(692), p.50 - 57, 2004/04
鉛直円管内未発達気泡・スラグ流の各種支配因子を従来の知見,実験結果及び物理的根拠に基づいて現象論的にモデル化した。気泡形状は球体積等価直径に応じて、4種の形状に分類した。液相速度場を介した気泡接近・合体過程を模擬するため、大気泡後流速度場モデルを導入した。小気泡運動に及ぼすせん断誘起乱流と小気泡誘起乱流の影響を考慮した乱流速度変動モデルを構築した。気泡合体は確率的事象とみなし、相互作用する二つの気泡のサイズに依存した気泡合体確率により評価した。構築した三次元One-Way気泡追跡法により未発達気泡・スラグ流の流動様式空間発展を良好に予測できる。
玉井 秀定; 冨山 明男*
日本機械学会論文集,B, 70(692), p.58 - 65, 2004/04
前報で提示した三次元One-Way気泡追跡法の予測制度を検証するため、流動様式・ボイド率・差圧の時空間発展に関して実験結果と計算結果を比較した。その結果、構築した大気泡後流速度場モデルにより、二つの大気泡の接近過程を良好に予測できることを確認した。また、管入口における気泡径分布・気泡管断面内位置及び小気泡合体確率に適切な値を用いれば、未発達気泡・スラグ流の流動様式,平均ボイド率,ボイド率変動,径方向ボイド率,平均圧力損失,圧力変動の空間発展を静止水・層流・乱流の各流動条件において良好に予測できる潜在能力を本手法が有していることを検証できた。
高瀬 和之
混相流, 17(3), p.267 - 276, 2003/09
本論文は日本混相流学会から依頼された解説記事である。日本原子力研究所では、国際熱核融合実験炉ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor)のための熱流動安全性研究として、真空容器内冷却材侵入事象ICE(Ingress of Coolant Event),真空境界破断事象LOVA(Loss of VAcuum event)等に関する実験的,解析的研究を行っている。これらの事象を混相流問題として考えると、ICEの研究は真空下における水の沸騰,蒸発に伴う相変化挙動を解明することであり、LOVAの研究は真空境界破断後の放射化ダストの移動量を定量的に把握することである。本報では、核融合炉熱流動安全性における混相流問題の中でICEやLOVAに関する研究の成果について述べる。また、ITERで検討されている圧力抑制タンク内での蒸気の直接接触凝縮やICEに伴って事象の進展が考えられる真空容器内での高温蒸気と黒鉛等に代表されるプラズマ対向壁構成材との化学反応に関する研究成果についても言及する。
呉田 昌俊; 日引 俊*; 三島 嘉一郎*; 秋本 肇
日本機械学会論文集,B, 67(653), p.179 - 188, 2001/01
中性子ラジオグラフィー高速度撮像法を沸騰流のボイド率計測に応用した。本報では、(a)瞬時ボイド率及び時間平均ボイド率の計測誤差を実験的、解析的に総合評価し、(b)計測結果をもとに流動パラメータがボイド率に及ぼす影響を評価することを目的とした。瞬時ボイド率(計測時間=0.89ms)の計測誤差(標準偏差/平均値)は18%以内であり、誤差最大条件で誤差の44%が中性子数の統計的変動誤差に起因し、36%が画像増幅ノイズに起因し、18%が蒸気泡の移動に起因することがわかった。また時間平均ボイド率の計測誤差は2%以内であった。瞬時ボイド率分布の時間変化量から気泡情報(寸法、移動速度等)を計測するとともに、流動パラメータが時間平均ボイド率に及ぼす影響を計測しボイド率マップを作成した。加熱長が同じ場合、流路間隙が小さいほどボイド率及び気泡寸法が大きく、限界熱流束が低く計測された。
今井 隆太*; 荒川 忠一*; 小林 謙一*; 日野 竜太郎; 石倉 修一*; 粉川 広行; 寺田 敦彦*; 羽賀 勝洋; 渡辺 正
第14回数値流体力学シンポジウム講演要旨集, p.C10_1_1 - C10_1_14, 2000/00
日本原子力研究所と高エネルギー加速器機構では、大強度陽子加速器計画が共同で推進され、水銀ターゲットの開発が計画されている。そこで、水銀ターゲットシミュレータの研究開発が始まった。本発表では、水銀ターゲットの内部で生じる主な物理現象とそれをシミュレートするときの課題を検討し、連成解析コードのシステム設計と個別コードの概要及び検証計算結果を報告する。連成解析の設計では、弱連成の適用方法を報告する。インターフェイスコードでは、ドイツの研究機関の開発しているソフトウェアの有効性を報告する。構造コードでは、原研が独自に開発している自前コードを紹介し、商用コードとの比較を行う。検証として、キャビテーション発生試験を対象とした圧力波伝播解析を行い、独自コードの信頼性を確認できたことを報告する。
小林 謙一*; 荒川 忠一*; 今井 隆太*; 日野 竜太郎; 石倉 修一*; 粉川 広行; 寺田 敦彦*; 羽賀 勝洋; 渡辺 正
第14回数値流体力学シンポジウム講演要旨集, p.C10_2_1 - C10_2_3, 2000/00
水銀ターゲット設計に必要なデータを収集するため、計算科学技術推進センターと中性子科学研究センターは共同で水銀の流動と容器変形の相互作用を考慮した流体構造連成コードを開発している。本発表では、流体コードについて発表する。今回、キャビテーション崩壊に伴う容器壁面の腐食を壁境界条件に組み込み、その影響について調べた。
not registered
PNC TN1000 98-001, 73 Pages, 1998/05
1.高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発幌延町における深地層試験(環境技術開発推進本部)2.放射性廃棄物処理・処分核燃料サイクル廃棄物の廃棄体化の技術開発(環境技術開発推進本部)3.MOX燃料製造技術の高度化MOX燃料製造工程の簡素化(ショートプロセス)に関する研究開発(核燃料施設計画部)(プルトニウム燃料工場)4.高速増殖炉高速炉におけるナトリウム伝熱流動数値実験に関する研究(動力炉開発推進本部)(大洗工学センター)
三島 嘉一郎*; 日引 俊*; 藤根 成勲*; 米田 憲司*; 鶴野 晃; 松林 政仁; 傍島 眞
日本機械学会論文集,B, 61(591), p.161 - 168, 1995/11
金属管内の高速流動現象の可視化実験を3種類の時間分解能を有する中性子ラジオグラフィー技術を用いて行い、さらにそれぞれの技術について限界時間分解能を明らかにした。パルス中性子源を用いたフィルム法では、矩形管内における空気-水二相流の中性子ラジオグラフィーの瞬間画像の撮影に成功した。パルス中性子源及び定常中性子源を用いた中性子ラジオグラフィー高速度撮像法では、500フレーム/秒の撮影速度で円管内の沸騰水の二相流の可視化に、1000フレーム/秒の撮影速度で矩形管内の空気-水二相流の可視化にそれぞれ成功した。得られた画像は流動現象を観察するには十分であり、時間分解能の限界は使用したコンバータの感度及び蛍光の減衰特性並びに統計的な中性子の計測誤差に依存して分類することができた。
数土 幸夫
JAERI-Conf 95-011, 158 Pages, 1995/06
本レポートは、核熱利用技術と混相流研究の役割についてのパネルディスカッションにおいて6名のパネリストと1名のパネル参加者から発表された基調講演1件と5分野のトピックスの論文をまとめたものである。このパネルディスカッションは、1995年4月5日京都国際会議場で開催された第2回国際混相流会議のなかで、核熱利用技術の現状、核熱利用の重要性、核熱利用技術における混相流研究の役割、及びHTTRを利用した国際協力研究の重要性についての理解を深めるために企画された。
森山 清史; 山野 憲洋; 丸山 結; 工藤 保; 永野 勝尋*; 荒木 和博*; 杉本 純
Proc., Seminar on the Vapor Explosions in Nuclear Power Safety,Kanzanji 1995, p.87 - 102, 1995/00
水蒸気爆発の全過程を解析する解析コードJASMINEの開発を行っている。現在開発を進めている粗混合モデルは、富士総研が開発した汎用二相流解析コードMISTRALを基に、水-蒸気の2相に溶融炉心の相を加えた3相モデルへの拡張、流動様式モデル、構成式の変更を行ったものである。固体粒子を用いたGilbertsonらの非加熱体系の実験、沸騰体系でのMAGICO実験の条件で解析を行い、実験結果およびAngeliniらのPM-ALPHAコードによる解析結果と比較して良好な一致を得た。今後、溶融物のブレークアップモデルの検証と改良、サブクール条件での安定性の改善、およびALPHA実験のデータに基づくモデルの改良を行うことにしている。伝播モデルについては、現在その基本的な枠組みについて検討している。
日本混相流学会*; 三流体詳細熱流動解析コード検討専門委員会*
PNC TJ9565 94-001, 530 Pages, 1994/03
本研究では、三流体モデルに基づく混相流の数値解析技術の高度化を目的として、(1)数値計算手法の改良、(2)質量輸送の構成方程式に関する調査検討、(3)抗力と剪断応力の構成方程式に関する検討、(4)水・蒸気系及び水・空気系実験データの構築と解析、(5)環状噴霧流の実験技術に関する調査、(6)基礎方程式に関する検討が3年間にわたって実施された。その結果、支配方程式の完全な多流体モデル化、三流体モデルの数値的安定性の解明、安定性に優れた解法の確立、適切性の判定、数学的に適切で物理的にも合理的な基礎方程式系の提示、液滴付着率、発生率に関する既存の構成方程式の定量的比較検討、界面せん断力、壁面摩擦、液膜厚さの理論的評価方法の提示がなされた。また、実験解析により、現状のFIDASのモデルにより、大気圧条件下の限界熱流束を精度良く予測できること、及び水・空気系環状噴霧流の液膜厚さ、液滴流量に関しても定性的に良好に予測できることが確認された。
富山 明男*; 片岡 勲*; 大川 富雄*; 平野 雅司
日本機械学会論文集,B, 59(566), p.3003 - 3008, 1993/10
著者らは、これまでに非圧縮性流れの多次元解析に広く用いられているSOLA法の改良法を提案するとともに、この改良法を組み込んだSOLA法に基づき、超音速流れから非圧縮性流れまで統一的に取扱える多次元二流体モデルの数値解法を提案した。本報では、この解法で、気液両相とも非圧縮性を仮定することにより、パーソナルコンピュータ上でも十分計算可能な多次元二流体モデルの数値解法を提示した。さらに、著者らが常温-常圧の水-空気系で行った多次元二相流に関する小型実験の結果と本手法による計算結果とを比較した。この結果、本手法により定性的に妥当な結果が効率良く得られた。これにより、本手法が多次元二流体モデルの構成方程式の開発に有用な手段となりえることが確認できた。
大貫 晃; 安達 公道
日本機械学会論文集,B, 53(490), p.1685 - 1690, 1987/00
加圧水型軽水炉事故時の圧力容器と蒸気発生器とを結ぶホットレグ内の流動を予測する上で重要な問題である傾斜管付き水平管内気液対向二相流制限のうち、水平管から下部容器へ落水を開始する直前の気相流速(落水開始気相流速)の予測に包絡線モデルを適用し、次の結論を得た。 (1)落水制限がベンド部(水平管と傾斜管との結合部)側水平管内で起こる場合、水平管内の平均的な気液相関摩擦係数fiとしてKimらの値0.021を採用すると、同モデルにより落水制限部でのボイド率および落水開始気相流速が予測できた。 (2)落水制限がベンド部側傾斜管内で起こる場合、落水制限部でのfiとして0.5を仮定すると、同モデルにより落水制限部でのボイド率および落水開始気相流速が予測できた。
岡本 芳三; 長谷川 修; 越後 亮三*
日本機械学会誌, 75(640), p.679 - 688, 1972/00
混和流動媒体(flowing multiphase medium)とは一般に担体媒体と分散媒体からなっていて,担体媒体は気体,液体の流体相,分散媒体は固体,液体,気体が微粒子状態で担体流体中に分散されているものをいう.ただし担体,分散両媒体とも同相のもの(単相混成分系)は除外されることもあり,また両媒体が気体,液体の場合(気体中の分散波濤,液体中の分散気ほう)にはいずれが担体媒体か区別できないこともある.このような一般的な混相媒体の流動伝熱の問題はほとんどの工学分野にまたがっているだけでなく天体物理学,気象学,海洋学,生物学,医学などにも関連していて想像以上のひろがりをもっている.高温,超高温域における伝熱の問題に限定しても問題は多岐にわたり,すでに実用化されている諸熱機関,各種工業用炉,反応炉,熱交換器,噴霧,微粉炭あるいはガス(輝炎)などの燃焼公設また開発途上の多目的用高温原子炉,高温熱交換器など現在の技術領域に近いものからガス(ミスト)状炉心超高温原子炉,核融合炉の伝熱など将来の問題も含めた多くの研究課題がある.
佐々木 明
no journal, ,
EUV光源の高効率化, 高出力化のために、低強度のプリパルスレーザーでSn液滴ターゲットを照射して微粒子に分散する方法が考えられている。レーザーでターゲットを照射して、固体物質が加熱され、溶融、蒸発して噴出するレーザーアブレーションの過程は、液相内部に気泡が存在する気泡流の状態、気泡が成長、合体して気相内に液相の噴霧流の状態を経ると考えられ、プラズマが生成するとともに、しばしば粒子が放出されることが知られている。本発表では、ラグランジメッシュを用いた2次元流体シミュレーションにおいて、任意にメッシュを再配置することにより、気泡, クラスタの分布とそれを含む流れを直接計算するモデルの構築を試みているので報告する。